ブリリアントカットはラウンドだけでなく、ファンシーカットにも採用されます。58面で構成され、全ての光を一面に集めます。それらが輝き(ブリリアンス)や虹のような色のゆらめき(ファイア)となり、あなたを光の万華鏡へと誘ってしまうのです。一方で、オールドヨーロピアンカットと呼ばれ古いダイヤモンドカットの美しさも紹介します。
執筆者はしまだです。米国宝石学協会GIAホルダー、年間30件以上の鑑定に携わる。現在、Gem-A FGA取得に向けて研鑽しています。記事の編集ポリシー・レビューガイドラインも併せてご確認ください。
ブリリアントカットとは
ブリリアントカットとはダイヤモンドの代表的なカットです。
例えば、58面で構成されたラウンドブリリアントカットの形状は円錐形に似ていて、光の全反射と分散が考慮された理想的な面によって構成されるように角度が決められています。ブリリアントカットの理想的なプロポーションは、直径を100とすると、テーブルは53、パビリオン43.1、クラウン16.2の比率となります。
ブリリアントカットは熟練のカッターが6世紀にわたって何世代も輝きを追求し続け完成されたカットです。つまり、今日の57面または58面ファセットのラウンドブリリアントへと進展するまで、時代ごとにダイヤモンドが全く異なる外観を持ちます。それら多くの美しい古いダイヤモンドは、プロポーションが現代の基準と異なり、アンティーク市場では人気を集めています。
最初にブリリアントカットを開発したのは誰なのかリサーチしてみましたが、ペルッツィ(Vicenzio Peruzzi)も完全な架空の人物、マザラン枢機卿(Cardinal Jules Mazarin)もフランス王冠の宝石を「新しいデザイン」に再カットするよう依頼しただけで、少しずつ醸成されたカット技術として職人達に広まったと考えるのが妥当かもしれません。
アイディアルカットとの違いは?
アイディアルカットはブリリアントカットの進化技術です。
1980年までアイデアルカットはGIA(米国宝石学会)のExcellentとして教材に採用され、Excellentと同等もしくはVery goodグレードだと評価されています。このように、未だにブリリアントカットの技術は発展しています。
例えば、トリプルエクセレントやハート&キューピット(ハート&アロー)などに人気が集まっていますが、ブリリアントカットの最新技術で人気が集まっています。時間と共に技術が革新すれば、更に上位グレードのブリリアントカットが生まれてもおかしくありません。
オールドヨーロピアンカットvsブリリアントカット
オールドヨーロピアンとは、ブリリアントの原型になったカットです。
アンティークジュエリーが好きな人は知っているかもしれませんが、現代のブリリアントはオールドヨーロピアンに比べ、クラウンが更に浅くなりアッパーパビリオンが短くなり、テーブル面が大きくなっています。
動きを伴うジュエリーには、オールドヨーロピアンの方が輝きが増しているという声もあります。つまり、このように古いカットでもアンティーク市場では人気を集め、ダイヤモンドの美しさは現代的な尺度だけでは判断できない事がわかります。
現代とアンティークのジュエリーデザインは異なりますが、手に入れる機会があればアメリカンカットだけでなく、オールドマインカットを含めたアンティークカット比較も試してみたいものです。
ファンシー系のブリリアントカット
ブリリアントカットはラウンドタイプだけではありません。
ファンシー系のブリリアントカットは、ペアシェイプ、マーキス、オーバル、ハートなが代表的で、曲面のあるカットに好まれて採用されています。ブリリアントカットなのでいずれも58面のファセットが特徴になります。
あとがき
ダイヤモンドはブリリアントカットの台頭で18世紀から輝きを追求した画期的な考え方となってゆきその人気を確立しました。
今ではアメリカンカットが主流となっていますが、ヨーロピアンカットも実はおすすめです。オールドなのかモダンなのか、知れば知るほど興味を持ってもらえるのではないでしょうか。