ダイヤモンドの価格は今後どうなるか参考になるよう、価格を左右する要因を整理しました。また、ダイヤは投資としてよりも資産防衛(保全)としての魅力があること、ふるさと納税にはルース(裸石)は無く割高な印象を受けるものの、1000万円を越えるような商品もあり一部の節税ニーズには対応できる可能性があることを紹介しています。
執筆者はしまだです。米国宝石学協会GIAホルダー、年間30件以上の鑑定に携わる。現在、Gem-A FGA取得に向けて研鑽しています。記事の編集ポリシー・レビューガイドラインも併せてご確認ください。
ダイヤモンドの価格
ダイヤの価格は、需給、中間マージン(物流や仲買人)、為替の3つのポイントで決まります。
例えば、ダイヤは資源価格と似た動きをします。採掘・供給サイドの計画によって、市場に流通する供給量が決まり、トレンドなどの需要動向に応じて価格が決められてゆきます。ダイヤを採掘する企業は限られていて、デビアス社、アルロサ社、リオティント社、デブスワナ社の4大企業で世界の8割に占める生産を担っています。
ダイヤの価格に対する影響力は依然として大きいものの、デビアス1社の独占市場が緩和しつつあります。また、中間マージンの多い業界ではありますが、4Cによる評価も定着し通販などのECモデルも普及が進み、国境を超えてディーラーと直接取引できる機会も増えています。
ダイヤの品質に応じた個別の価格に関してはこちらの記事で掘り下げて解説していますので、併せてご覧ください。
過去5年間のダイヤモンド相場
過去5年間のダイヤモンド相場を確認してみましょう。
ダイヤの相場としてはIDEXという指標が有名です。最新のチャートによると、2020年3月に一旦底値を付けた後に、2021年5月に入って上昇トレンドに入り、2022年3月に最高値を更新して、現在は調整局面として底値を探っている様子が伺えます。現時点では、上昇トレンドが続くのか、反転して下落トレンドが始まるのか、明確なトレンドは発生していません。
ダイヤの価格は今後どうなる?
価格は今後どうなるのか確定的な判断は難しいでしょう。
ここでは、あくまで過去実績などの事実を中心に紹介し、今後の価格が上昇する要因と今後の価格が下落する要因として整理しました。
今後の価格が上昇する要因
今後の価格が上昇する要因を紹介します。
グランドビューリサーチの調査によると、2030年まで年3%の成長率で世界のダイヤモンド市場は拡大すると予測しています。
- インドや中国などの経済成長による伴うダイヤ需要の拡大
- 為替動向(円安)に伴う日本国内価格の変動
- 新たな価値観やトレンドに伴った価値創出
今後の価格が下落する要因
今後の価格が下落する要因を紹介します。
- 人工ダイヤモンドの台頭によるカニバリゼーション
- 潜在ダイヤ埋蔵量の多いロシアに代表される過剰供給
- 中間マージンの更なる圧縮
- 為替動向(円高)に伴う日本国内価格の変動
- リユース市場の拡大に伴う供給増加(環流)
ダイヤモンドの投資はありか
投資における成功は割安に買って高値で売る事はプロでなくもわかります。
その原則から言えば、ダイヤは投資に向いていません。例えば、ゴールドやプラチナに投資しても大きな利益を得る事は難しいでしょう。一方で投資と言っても、資産保全や防衛など利益を追求する投資ではなく資産の運用であれば、管理(保管)コストが低いため魅力があります。
実物資産として優秀で、価格変動も資源系の資産では変動幅が小さく、重量に対する資産価値としては世界最高と言っても過言ではありません。外貨基準の価値算定にも関わらず、日本で気軽に保有できるというメリットもあります。
一方で、デメリットとなるのは盗難リスクや流動性ですが、銀行の貸金庫などを利用すれば盗難リスクもヘッジでき、流動性も最近では買取ショップが多く、気軽に現金化できます。
ここでのダイヤはジュエリーではありません、ルース(裸石)そのものを対象にしています。
ふるさと納税でダイヤモンド
ふるさと納税でもダイヤモンドが手に入ります。
ふるさと納税であれば、税金が控除されますからお得に買えるダイヤもあります。宝石の街として有名な山梨県内の自治体からの出品が多く、価格も2万円台のピアスから、1,300万円を超えるような高額ダイヤジュエリーも展開され、節税目的としても豊富な選択肢は魅力的です。しかし、ルース単体での販売はされていないため、ジュエリーとして割高な印象を受けてしまうかもしれません。
あとがき
ダイヤの価格が今後どうなるのか、過去約60年間ほとんどの期間で上昇を続けてきました。
デビアス社の独占的な価格コントロールが効いていた時代から脱却しつつありますが、どの採掘企業もダイヤ価格の低下は避けたいと考えています。そう考えると、4大企業が足並みを揃える格好は変わりません。
国連による調査だと、2080年までは世界人口が増え続けると発表していて、仮に世界的な景気後退がそれまで本格化しないと仮定すると、大規模な戦争による人口減少が発生しない限り、ダイヤの価格も今後は大きな変動(暴騰・暴落)はないでしょう。