ローズカットはアンティークの美しさを味わうダイヤモンド

ダイヤモンド

ローズカットはアンティークの美しさを味わうダイヤモンド

ローズカットダイヤモンドは、薔薇の花びらのように幸せが重なると言われます。タイムレスなデザインは、瑞々しい透明感のある美しさに包まれ、アンティーク市場で今なお人気を集めています。質の低いダイヤモンド向けのローズカットが、ここまで宝石の価値を高めると当時の職人は思いもしなかったでしょう。

執筆者はしまだです。米国宝石学協会GIAホルダー、年間30件以上の鑑定に携わる。現在、Gem-A FGA取得に向けて研鑽しています。記事の編集ポリシー・レビューガイドラインも併せてご確認ください。

ローズカットとは

ローズカットとは

ローズカットはダイヤモンドの最も古いカットの1つです。

3つ以上のファセットで形成され、ドーム型のクラウンを持つ平らな底部があるのがローズカットの特徴で、カデザインは円・正方形・洋梨系の大きく3つがあります。ブリリアントほどの輝きはありませんが、ファセットの面数が少ないため、より透明感のある瑞々しい美しさは繊細で官能的な光沢を放ち、にここ数年で改めて注目が集まっています。

ローズカットは、1800年代まではダイヤモンドよりマーカサイト(白鉄鉱)やガーネットのような数少いカラー宝石で使用されていました。ローズカットが生まれた時代はろうそくの灯りで評価され、現代のように輝きが重視されたカットは稀でした。つまり、ローズカットは低グレード品質の輝きの少ないダイヤモンドに最適なカットとして人気を集め、アンティークではSIクラリティ、Iカラー以下で、今でもSI及びIクラリティでGカラー以下が一般的です。

ローズカットのダイヤモンドが改めて注目される理由

世界中で根強い支持を集めるローズカットダイヤモンド

ローズカットのダイヤモンドはここ数年でまた人気が高まっています。

ジェニファーアニストンが2012年にジャスティンセローから受け取った婚約指輪がローズカットだった事、そしてダウントンアビーピーキーブラインダーズ、さらにはゲームオブスローンズの影響で、アンティークジュエリーに注目が集まりローズカットの人気が高まりました。

ローズカットはファセット数が少ないため、1つの面が大きく、カットによるごまかしが効きにくく素材感をそのまま楽しめます。その佇まいから、上質で気品高く落ち着いた雰囲気を演出してくれます。ダイヤモンドは輝きが美しい、一方で普段使いするには派手になってしまいがちです。主流のブリリアントなどに比べ、輝きの変わりに暖かく優しい上品な輝き、主張し過ぎないナチュラルな雰囲気はタイムレスな魅力を纏って、大人の女性を中心に支持されています。

アンティーク市場で根強い人気があるローズカットダイヤモンド

アンティーク市場で根強い人気があるローズカットダイヤモンド

ローズカットダイヤモンドはアンティーク市場で人気があります。

1500年代から始まり、イギリスが世界経済の覇権を握った18世紀に入って、は最も人気が集まりました。しかしながら、ダイヤモンドのカットに関する技術が進み、トレンドが移り変わってゆきました。トレンドに合わせて再カットされ、オリジナルのローズカットダイヤモンドは少なくなり、アンティーク市場では未だに人気を集めています。ローズカットダイヤモンドは、ジョージ王朝時代 (1698 ~1830年) およびビクトリア朝時代 (1837~1901 年) に作られたアンティーク ジュエリーによく見られます。

ローズカットのアンティークジュエリーの相場感をリサーチしてみました。品質によってこの限りではないため参考程度にして欲しいのですが、某サイトでは全87点795$~18,000$でした。例えば、上記写真はジョージ王朝時代のアンティークジュエリーで3,800$です。ローズダイヤモンドはセンター0.5カラット、周りの4つのローズダイヤモンドは合計0.12カラット、そして10Kイエローゴールドです。

現行のローズカットを手に入れるには?

現行のローズカットを手に入れるには?

現在、ローズカットはメジャーブランドから販売されていません。

ローズカットはルース(裸石)も大手では扱っていませんでしたので、自身でルースを仕入れてセミ・フルオーダーするのもハードルが高いと言えるでしょう。ティファニーなどのメジャーブランドと違って、工房系のジュエリーブランドは広告にそれほどお金をかけていませんのでダイヤモンドの品質に比べコストパフォーマンスが良いブランドもあります。一方で、ダイヤモンド自体の品質が悪すぎてジュエリーではなくアクセサリーグレードのものも少なくありません。

定番で商品化しているのは、多くがアンティーク系ジュエリーを得意とする工房で、直接現地へ買い付けに行っているブランドもあるようです。例えば、ジェイパールではブライダル品質のダイヤモンドを大胆にローズカットしていたり、ローズカットに限らずレガシーな技術をコンセプトデザインに落とし込み注目されるカラフルなどがあります。

ローズカットダイヤモンドの選び方

ローズカットダイヤモンドの選び方

ローズカットダイヤモンドでは4Cのどれを優先させるべきでしょうか。

まず、ローズカットで最も優先すべきはクラリティです。ローズカットは輝きより、瑞々しい透明感にその美しさが表現されています。一方で、最も妥協できるのはカラーです。と言うのも、アンティーク市場でローズカットが人気を集めているカラーはイエローやグレーが多く、ファンシーカラーはさらにコアなファンから注目されています。勿論、純粋なホワイトダイヤモンドであれば圧倒的な透明感を味わえる事になり、このあたりの選択肢が多いのも幅広い年代から支持される理由なのかもしれません。

あとがき

ローズカットの美しさは現代のものさしでは測れません。

最初はブリリアントカットの輝きの強いダイヤモンドが欲しい人が多いでしょう、一方で気兼ねなく普段使いしたいからローズカットという人は少なくありません。

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