ブルーダイヤモンドはレッドカラーに次いで最も希少性のあるカラーダイヤです。昨今ではさらに人気が集まり値段が高騰しています。ブルーカラーを人工的に作り出すアイスブルーダイヤや値段が1万分の1に下落している人工ブルーダイヤ、タイタニックに出てくる碧洋のハート、ジルコンとの違いまで詳しく紹介しています。
執筆者はしまだです。米国宝石学協会GIAホルダー、年間30件以上の鑑定に携わる。現在、Gem-A FGA取得に向けて研鑽しています。記事の編集ポリシー・レビューガイドラインも併せてご確認ください。
ブルーダイヤモンドとは
ブルーダイヤモンドとは珍しいカラーダイヤの1つです。
最も希少性があるファンシーカラーはレッドダイヤですが、ブルーダイヤはそれに次ぐ2番目に希少性が高く価格も高騰しています。ブルーダイヤは、Green-Blue, Greenish-Blue, Blue, Violetish-Blueと言った4色の系統を持ち、純粋なファンシーブルーの採掘は極めて少なく価値が高くなります。
インド、南アフリカ、西オーストラリアで採掘されてきましたが、現在大規模に採掘されているブルーダイヤ鉱山はありません。ブルーダイヤは他のファンシーカラーと違い、地球のマントル下部(他のダイヤに比べ4倍もの深さ)で形成されます。ブルーカラーを生成するホウ素は海洋プレートの沈み込みによってマントルに運ばれた古代の海底元素に由来すると考えられています。
一方で、無色のダイヤにブルーカラーを追加する方法(一般的にはアイスブルーダイヤモンドと呼ばれる)もあるため、天然のブルーダイヤかどうかは専門家による鑑別が必要となります。
アイスブルーダイヤモンドは人工カラー
アイスブルーダイヤモンドのブルーカラーは人工的に作り出されています。
アイスブルーダイヤは天然の無色透明のダイヤにトリートメント処理を行います。表面コーティングとは違い科学的な処理を施すため、ブルーの色落ちはありません。人工ダイヤモンドとも違う人工カラーですが、アイスブルーの魅力はそのお手頃な価格帯に加えて、透き通るほどの鮮やかなブルーカラーが魅力です。
ファンシーブルーダイヤモンドとは
ファンシーブルーとしてのグレードを紹介します。
ブルーカラーでファンシーカラーと呼ばれるのは、ファンシーライト(Fancy Light)、ファンシー(Fancy) ファンシーインテンス(Fancy Intense)、ファンシーヴィヴィッド(Fancy Vivid)、ファンシーダーク(Fancy Dark) ファンシーディープ(Fancy Deep)に分かれます。ブルーの濃淡と鮮やかさによって品質が評価され、最も価値があるカラーはファンシーヴィヴィッドになります。
世界で最も有名なホープダイヤモンド
ホープダイヤモンド(Hope Diamond)は世界で最も有名なブルーダイヤモンドです。
インドのコルル鉱山で採掘された45.52カラット、VS1クラリティのブルーダイヤです。4世紀以上の歴史があり様々な人の手に渡り呪われたダイヤモンドと揶揄された時期もありましたが、ハリー・ウィンストンが最後に手にした事をきっかけに、今ではアメリカの国立自然史博物館へ寄贈されています。
近年でのブルーダイヤモンド落札価格
ブルーダイヤモンド落札価格を紹介します。
例えば近年では、9.75カラットのゾーイ(Zoe)がニューヨークで1カラットあたり334 万 8000ドルの合計3264 万5000ドルの価格で落札されました。他には、13.32カラットのウィンストン ブルー(Winston Blue)がジュネーブで1カラットあたり180 万ドルの合計2397.6万ドルの価格で落札されました。
そして、12.03カラットのジョセフィンのブルー ムーン(Blue Moon of Josephine)はファンシービビットカラーということもあり、1カラットあたり403万ドルという価格がつき、ブルーダイヤでは過去最高値(1カラットあたり)で落札されました。
ちなみに、ブルーダイヤで世界一高い落札価格だったのはオッペンハイマー・ブルーです。2016年に5750万ドルで落札され、デビアス社の元会長(フィリップ・オッペンハイマー)が所有しています。
天然ブルーダイヤモンドの値段
天然ブルーダイヤモンドの値段を紹介します。
現在、市場に出回っているブルーダイヤは36点をリサーチしました。例えば、値段は最も安くても0.3カラット、ライトブルー、SI2クラリティ、マーキスカットブルーダイヤで$16.380(カラット単価$54,600)でした。最も高い値段で6.7カラット、ライトブルー、SI1クラリティ、ラディアントカットブルーダイヤが$1,434,313(カラット単価$214,375)でした。
ブルーダイヤモンド1カラットの値段
ブルーダイヤモンド1カラットの値段を紹介します。
流通しているの1カラットのブルーダイヤは1点しかなかったので、0.9から1.1カラットまで幅を広げ5点をリサーチしました。1カラットあたりの値段で最も安かった値段は1カラット、ライトグリーンブルー、SI2クラリティ、クッションカットブルーダイヤで$108,889でした。最も高い値段は0.93カラット、ビビッドブルー、SI2クラリティ、ペアシェイプカットブルーダイヤで$980,000でした。ブルーカラーの品質によって大きな値幅が存在します。
カラット単価 | |
0.9 | 650,129 |
0.93 | 980,000 |
1 | 108,889 |
1.01 | 134,750 |
1.02 | 866,839 |
0.97 | 548,121 |
人工ブルーダイヤモンドの値段
人工ブルーダイヤモンドの値段を紹介します。
人工ブルーダイヤは他のファンシーカラーに比べて流通している量が多く、値段の割に好条件のものを選ぶことが出来ます。ファンシーカラーで最も価値のあるFancy Vividで条件を絞っても1から1.5カラットで10点もあり、値段も$3,000前半から$4,000前半のレンジで、天然と比べて価格差は1万分の1もの差があります。
タイタニックのブルーダイヤ
映画タイタニックのブルーダイヤは碧洋のハート(Heart of the ocean)と呼ばれています。
しかし、碧洋のハートは架空のブルーダイヤモンドです。しかし、碧洋のハートは実在するホープダイヤモンドに基づいて設定がなされています。実際に撮影で使われたものはキュービックジルコニアを使ったネックレスでしたが、映画のリリースに合わせて本物も作られました。それはプラチナ製のネックレスで作られ、170カラットのハート型サファイアと、合計36カラットになる65個のラウンドダイヤモンドがセッティングされました。現在では、安価なレプリカも出回っています。
ブルーダイヤが買えなくてもジルコンも選択肢に
ジルコンは12月の誕生石です。
ブルーダイヤは高くて買えなくても、ブルー系の宝石であるジルコンやアイスブルーダイヤであればどうでしょうか。ジルコンはダイヤに近い虹色の煌めき(ファイア)があるためホワイト系のジルコンと合わせたブルー系のジルコンに人気があります。サファイアは9月の誕生石ですが、同じブルー系の宝石として一考する価値はあります。
あとがき
ブルーダイヤモンドは安定した供給がないため、日々価値が高まっています。
ブルーダイヤモンドの成り立ちを知ると、他のダイヤに比べてストーリーがより一層神秘的で人気が集まる理由がわかります。小さくても良いから天然のブルーダイヤをいつか手に入れたい、予算に合うブルーダイヤは出会った時が運命なのかもしれません。数千年の時を超えてあなたとの出会いを待ってくれているのかもしれません。