宝石の王様は本当にダイヤモンドなのか

ダイヤモンド

宝石の王様は本当にダイヤモンドなのか

宝石の王様はダイヤモンドなのでしょうか。実際には、サファイア、ルビー、エメラルドなど魅力的な宝石は世界中にあります。実は、世界4大宝石(世界5大宝石)と比べてみると、王たる宝石とそれ以外では1カラットあたりの値段に圧倒的な差が存在していました。

執筆者はしまだです。米国宝石学協会GIAホルダー、年間30件以上の鑑定に携わる。現在、Gem-A FGA取得に向けて研鑽しています。記事の編集ポリシー・レビューガイドラインも併せてご確認ください。

宝石の王様はダイヤモンドと呼ばれる3つの理由

宝石の王様はダイヤモンドと呼ばれる3つの理由

宝石の王様がダイヤモンドと呼ばれるには3つの理由があります。

最も硬い宝石、高い希少性、時代を問わない人気、この3つが王たる片鱗です。実は地球上には4,000以上の鉱物が存在し、ダイヤの硬度に関しては周知の事実ですが、これだけでは王の椅子は維持できません。

例えば、希少性だけをみると、ダイヤより希少性のある宝石(レッドベリルなど)は沢山あります。そうなると、タイムレスなトレンドが宝石の王様としての地位を支えていると言っても過言ではありません。

「ダイヤモンドは永遠に(Diamonds Are Forever)」という言葉ではありませんが、まさに時を超えて支持を集める宝石はダイヤモンドしか存在しない可能性さえあるかもしれません。

ダイヤモンドとは

ダイヤモンドとは

ダイヤモンドは炭素から成る世界一の硬度を持つ宝石です。

無色透明の一般的なダイヤだけでなく、ピンクやブルー、ブラックなどのファンシーカラーを備えたより希少性の高いダイヤも存在します。古くから世界中で人気の絶えない宝石で、その美しい輝きや虹のようなゆらめきはタイムレスな魅力に包まれています。

宝石の定義とは

宝石の定義とは

宝石とは希少性がある美しく硬い鉱物です。

宝石の必須条件はまず美しさ、次に希少性、そして耐久性(真珠やサンゴなど例外あり)と言われています。ダイヤであれば国際的な評価基準により相場が決まっていますが、それ以外の宝石は評価の定義はダイヤに比べて厳密ではなく、国や民族によって価値が変わります。

例えば、翡翠は欧米より東アジアの方が高い価値で取引されます。逆に、真珠は日本国内価格より海外の方が高い価値で取引される傾向もあります。

宝石の王様は本当にダイヤモンドなのか?

宝石の王様は本当にダイヤモンドなのか?

ダイヤモンドが宝石の王様という言葉を一度は耳にした事があるのではないでしょうか。

しかし、世界には魅力的な宝石がたくさんあり、ここでは代表的な宝石を抜粋して比較しました。

ダイヤモンドの他に代表的な宝石たち(世界4大宝石・世界5大宝石)

世界で代表的な宝石のことを世界4大宝石もしくは世界5大宝石とも呼ばれています。

宝石としての価値および人気が伴っている宝石は、ダイヤモンド、ルビー、サファイア、エメラルドで世界4大宝石と呼ばれています。世界5大宝石は世界4大宝石から、翡翠(ヒスイ)、真珠、アレキサンドライトの内いずれか1つが加わり、地域ごとに人気が異なり構成も変わります。

世界4大宝石のサファイア

世界4大宝石のサファイア

サファイアははコランダムの宝石です。

サファイアはメインカラーとされる青色系統以外にもファンシーカラーが存在し、イギリス王室が認めたロイヤルブルーカラーはサファイアでも人気を集めています。

サファイアの魅力はその色彩にあります。例えば、サファイアは空や海、水といった広大な自然のイメージを浮かばせ、爽やかな空、生命の源の海、体に不可欠な水を連想させる宝石です。つまり、人が生きるため自然を受け入れてゆくように、好む人が圧倒的に多く嫌う人が少ない宝石がサファイアです。

世界4大宝石のルビー

世界4大宝石のルビー

ルビーはコランダムの変種で赤い宝石です。

ルビーの産地はアジアが中心で欧米では採掘できないため、希少性はダイヤを追随する勢いがあります。特に、真紅の宝石を代表する存在として人気を集めています。

ルビーの魅力はその色彩にあります。例えば、ルビーは太陽や火の熱く活発なイメージを浮かばせ、エネルギーを感じさせるアクティブな宝石です。つまり、人が生きるために必要なものと多く結びついているルビーは、他のどの宝石よりも強い刺激を抱かせてくれます。

世界4大宝石のエメラルド

世界4大宝石のエメラルド

エメラルドは緑柱石(ベリル)で緑色の宝石です。

硬度は世界4大宝石の中では最も低く(硬度7.5~8)、衝撃に弱いため、技術の高い宝石職人でないと扱えないデリケートな宝石の代表格です。

エメラルドの魅力はその色彩にあります。例えば、エメラルドは木や森などの自然の波長を放ち、気持ちを穏やかにし心をリラックスさせてくれる宝石です。つまり、人が生きるために必要なエネルギーを自然から得るように、豊かなエネルギーに包みこまれる宝石がエメラルドです。

宝石の王に相応しいダイヤモンド

宝石の王に相応しいダイヤモンド

地域問わず宝石たる地位と人気を得ている世界4大宝石の中で、王に相応しい宝石はやはりダイヤモンドでした。

大雑把な調査ではありますが、現在市場に出回っているすぐに買えるルース(裸石)の中から希少性と人気の尺度として1カラットあたりの値段を比較しました。

例えば、市場に出回る宝石品質の点数がまず違います。圧倒的にダイヤの流通が多く、希少性や人気が低ければ値崩れを起こしてしまいますが、ダイヤの相場が最もが高いことがわかりました。

一部にはダイヤより価値のある宝石もありますが、相対的にダイヤが最も価値が高く、宝石の王様と呼ばれている背景が納得できます。ちなみに、世界四大宝石の序列をこの調査から付けてしまうと、ダイヤ、ルビー、エメラルド、サファイアの順になりました。

最安値最高値平均
ダイヤモンド$1,111$114,684$57,898
サファイア$786$9,616$5,201
ルビー$1,000$64,104$32,552
エメラルド$1,042$12,180$6,611

ダイヤモンドの相場

ダイヤモンドの相場

ダイヤは37万点あり、ラウンドカットのみ対象としました。

最安値は0.18カラット、Eカラー、SI2クラリティ、Goodカットで$1,111/1カラット(GIAレポート)、最高値になると20.28カラット、Eカラー、VVS1クラリティ、Excellentカットで$114,684/1カラット(GIAレポート)でした。単純平均すると、相場平均は1カラットあたり約6万ドルと見積もれ、希少性に応じたプレミアムがしっかり値段に含まれています。

サファイアの相場

サファイアの相場

サファイアは4千点あり、全カットを対象としました。

最安値は0.28カラット、オーバルカット、加熱処理済で$786/1カラット(鑑定なし)、最高値になると15.67カラット、オーバルカット、加熱処理済で$9,616/1カラット(鑑定なし)でした。単純平均すると、相場平均は1カラットあたり約5千ドルと見積もれました。

ルビーの相場

ルビーの相場

ルビーは1千点あり、全カットを対象としました。

最安値は0.24カラット、ペアシェイプカット、加熱処理済で$1,000/1カラット(鑑定なし)、最高値になると8.01カラット、ハートカット、加熱処理済で$64,104/1カラット(鑑定なし)でした。単純平均すると、相場平均は1カラットあたり約3万ドルと見積もれました。

エメラルドの相場

エメラルドの相場

エメラルドは2千点あり、全カットを対象としました。

最安値は0.24カラット、ペアシェイプカット、オイル処理済で$1,000/1カラット(鑑定なし)、最高値になると7.28カラット、エメラルドカット、オイル処理済で$64,104/1カラット(鑑定なし)でした。単純平均すると、相場平均は1カラットあたり約7千ドルと見積もれました。

あとがき

宝石は十人十色です。

宝石の王として、ダイヤモンドにフォーカスして記事を執筆しましたが、ここで紹介できなかった宝石たちには魅力があります。特にジュエリーは、トレンドをや価値を気にする必要はありません。再販や買取などを視野に入れて資産性を考えて選ぶ場合を除いて、自分と出会えた宝石との縁を感じながら過ごす日常は、どのような宝石を選んだとしても格別です。

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