世界一のダイヤモンドを紹介します。名実共に世界一のダイヤだと言われているホープダイヤ、実際に世界一高い落札金額で競り落とされたCTFピンクスター、世界一大きいHEX.comダイヤを始め、世界最大級の巨大なダイヤたちを集めました。価格が付けられない推定価格のダイヤも一部で紹介しました。
執筆者はしまだです。米国宝石学協会GIAホルダー、年間30件以上の鑑定に携わる。現在、Gem-A FGA取得に向けて研鑽しています。記事の編集ポリシー・レビューガイドラインも併せてご確認ください。
世界一のダイヤモンド
世界一のダイヤモンドはホープダイヤモンド(Hope Diamond)でしょう。
その理由は、話題性と認知度、推定価格からしても世界一と称しても過言ではありません。ホープダイヤはその名とは裏腹に所有者を次々に不幸へと誘う呪われたダイヤとして有名でした。偶然にも所有者の数名は自殺した経緯も相まって、その逸話は世界中に広まりました。
ホープダイヤはその後、2つにカットされ今では45.52カラットにまで小さくする事で、呪いは解かれたとされてきました。最終的には、世界的な宝石商であるハリー・ウィンストンによってコレクションされ、死後にアメリカの国立自然史博物館に寄贈され、展示しています。
推定価格は歴史上のダイヤで世界一ではありませんが、2~2.5億ドルとも言われています。
実際に落札された世界一高いダイヤモンド
世界一高いダイヤモンドはピンクダイヤのCTFピンクスター(CTF Pink Star)です。
希少性の高いカラーダイヤの最高落札額を年々更新していますが、現在CTFピンクスターは世界一高いダイヤとして落札額の最高額と記録されています。2017年にサザビーズ(香港)のオークションで7,120万ドルの値段で落札され、ダイヤに限らず宝石・宝飾品における最高価格を更新したことで有名です。
元々はピンクスターとして有名だった59.60カラットですが、落札後には中国企業(周大福)のCTFの名が加わり、名称が変更されました。
世界一高いCTFピンクスターを含めた落札額トップ3のジュエリー、またダイヤ以外の世界5大宝石で世界一高いオークション落札額などは、こちらの記事に詳しく紹介していますので、併せてご覧ください。
カラーダイヤモンド番付トップ11
カラーダイヤモンド番付トップ11を紹介します。
一般的で透明(カラーレス)な以外にも、ダイヤにはファンシーカラー(ブルー、ピンク、ブラックなど)が存在し、希少性が高まります。世界一高いカラーダイヤは最も希少性の高いレッドダイヤだという事は有名ですが、現在に市場に出回っていません。
そこで、現在市場に売りに出されているカラーダイヤの流通点数と最安値を調査して、カラーレス(透明)を含めた11カラーの番付を高い順番に行いました。あくまで断片的な調査で、ダイヤ品質(カラット、カラーなど)によって大きく相場も変わりますが、参考になります。
流通点数 | 1ctあたり($) | ||
1 | レッド | 0 | 0 |
2 | ブルー | 52 | $54,600 |
3 | パープル | 43 | $15,950 |
4 | ピンク | 697 | $10,030 |
5 | グレー | 38 | $9,000 |
6 | グリーン | 140 | $6,353 |
7 | イエロー | 7,411 | $2,684 |
8 | オレンジ | 176 | $2,265 |
9 | カラーレス | 23,736 | $1,870 |
10 | ブラウン | 411 | $1,829 |
11 | ブラック | 28 | $1,380 |
カラーダイヤに関して詳しくはこちらの記事で詳しく掘り下げて解説していますので、併せてご覧ください。
世界最大級トップ10のダイヤモンド
世界最大級トップ10のダイヤモンドを紹介します。
これらの巨大なダイヤがオークションに出品されれば、過去の最高落札額も更新される可能性があります。まさに、世界一高いダイヤは世界最大のダイヤだと言っても言っても過言ではないのかもしれません。
第10位:世界最大級273.85カラット「センテナリー」
センテナリーダイヤモンド(Centenary Diamond)はカラーレスの透明で巨大なダイヤです。
南アフリカで採掘され、特徴的なハートカットが有名です。デビアスより販売されましたが、現在所有者は公開されていません。
第9位:世界最大級280カラット「グレート・モーグル」
グレート・モーグルダイヤモンド(Great Mogul Diamond)はカラーレスの透明で巨大なダイヤです。
インドで採掘された後に所在不明となっていますが、現代の学者たちの調査ではロシア(クレムリン)が所有しているオルロフ(Orlov)だと確信しているようですが、公式見解は出されていません。
第8位:世界最大級302.37カラット「レセディ・ラ・ロナ」
グラフ レセディ ラ ロナ(Graff Lesedi La Rona)はカラーレスの透明で巨大なダイヤです。
ボツワナで採掘され、名前の通り英国の宝石商で有名なグラフが5300万ドルで取得しています。2019年の時点で、GIAが鑑定したダイヤの中でもここまで大きく美しいダイヤ(カラーとクラリティは共に最高グレーディング)は他にないと話題になりました。
第7位:世界最大級312カラット「グリソゴノ」
スピリット オブ デ グリソゴノ ダイヤモンド(Spirit of de Grisogono Diamond)は巨大なブラックダイヤです。
中央アフリカで採掘され、モーグルカットが特徴的なリングとして販売され、現在の所有者は明かされていません。
第6位:世界最大級317.4カラット「カリナン2」
カリナン(Cullinan II)はカラーレスの透明で巨大なダイヤです。
南アフリカで採掘された世界最大のダイヤ原石から3石に分割された1つで、二番目に大きなカリナン2は317.4カラットあります。現在は、英国王室が所有し、ロンドン塔で展示されています。
第5位:世界最大級340カラット「ニザム」
ニザムダイヤモンド(Nizam Diamond)はカラーレスの透明で巨大なダイヤです。
インドで採掘され1800年代では最も有名なダイヤの1つと言われていましたが、現在は行方不明とされ所在がわかっていません。
第4位:世界最大級407.48カラット「インコンパラブル」
インカンパラブルダイヤモンド(Incomparable Diamond)は、巨大なブラウンダイヤです。
コンゴで採掘され、なんと鉱山のゴミ捨て場に間違って廃棄されていたものを少女が見つけたという逸話も有名です。
第3位:世界最大級530カラット「カリナン1」
カリナン(Cullinan I)はカラーレスの透明で巨大なダイヤです。
南アフリカで採掘された世界最大のダイヤ原石から9石に分割された1つで、最も大きなカリナン1は530カラットあります。勿論、カラーレスダイヤでは世界最大です。現在は、英国王室が所有し、ロンドン塔で展示されています。推定価格は4億ドルとも言われていますので、推定価格だけで判断すれば、歴史上世界一高いダイヤモンドと言えるでしょう。
カリナンは世界的にも希少性が高く、こちらの記事で掘り下げて紹介していますので併せてご覧ください。
第2位:世界最大級545.67カラット「ゴールデンジュビリー」
ゴールデンジュビリーダイヤモンド(Golden Jubilee Diamond)はブラウンダイヤです。
ブラウンダイヤの中では世界最大で、南アフリカで採掘された後、現在はタイ王室が所有しており王冠にセッティングされ、バンコクにある国立博物館にて展示されています。
第1位:世界最大555.5カラット「HEX.com」
世界最大のダイヤモンドはブラックダイヤのHEX.comダイヤモンド(HEX.com diamond)です。
2022年に名称が変わったので、エニグマ(Enigma)という名前の方がピンとくる方が多いかもしれません。555.5カラットの世界最大のダイヤとしてギネスにも記録されています。ちなみに売買金額は316万ポンドで、世界最大ではありますが世界一高い価格ではありません。
あとがき
価格のつかないダイヤも多く、今後の相場によっては最高額が更新される事もあるでしょう。
そのため、ランクに変動があれば追記または修正する予定です。世界一高いダイヤモンドは世界一大きいダイヤモンドで、4Cの中でもカラットが希少性の要となり、値段に最も影響することがよくわかります。