4月の誕生石はダイヤモンドだけではなく、日本63年ぶりにモルガナイトが追加されました。実は国によって四月の誕生石が違います。イギリスでは水晶も加わったり、国内でも業者によってはインカローズを加えていたりもします。日にちで決まる誕生日石も注目され、縁起物はまさにカオス状態です。
執筆者はしまだです。米国宝石学協会GIAホルダー、年間30件以上の鑑定に携わる。現在、Gem-A FGA取得に向けて研鑽しています。記事の編集ポリシー・レビューガイドラインも併せてご確認ください。
4月の誕生石は?
4月の誕生石はダイヤモンドとモルガナイトです。
2021年に日本版の誕生石が改訂され、モルガナイトが追加されました。モルガナイトは、1911年にアメリカのモルガン財閥の創始者であるジョン・ピアポント・モルガンに因んで名付けられた宝石です。全国宝石卸商協同組合によって、発見者や名称に因んだ人々の誕生月に重きを置いて選定された結果、4月の誕生石に仲間入りしました。
ちなみに、日本の誕生石では採用されていませんが、イギリスでは水晶も4月の誕生石として一般的です。
4月の誕生石ダイヤモンドとは
4月の誕生石で長年親しまれているダイヤモンドは宝⽯の王様です。
例えば、宝石の中でダイヤモンドは最も硬く(モース硬度10)、希少性と人気が高いため最も値段の高い宝石種です。古代ギリシア語の「征服できない(adámas)」に由来しダイヤモンドと名付けられ、和名で⾦剛⽯とも呼ばれています。一般的な無⾊透明のダイヤモンドから、ファンシーカラーと呼ばれる様々な⾊のダイヤモンドまであります。最近では、技術革新によって宝石品質の人工ダイヤモンドも随分と値段が下がってきました。
有名な石言葉は、「清純、無垢、純愛、永遠の絆、純白」などでしょう。かつて2世紀の無名の詩人は、この4月の誕生石が邪悪な目(病や貧困、また死)を退けることができると主張していました。また、癒しの力を持つとさえ考えられました。実際に何世紀もの間、ダイヤモンドの誕生石は解毒剤として扱われた歴史もあり、疫病から保護すると考えられて、長寿、力、美、幸福などの恵みの象徴と信じられてきました。
4月の誕生石モルガナイトとは
4月の誕生石に加わったモルガナイトは、鉱物名ベリルの変種でピンク⾊から淡紫⾊の⾊合いを持つ宝⽯です。
⽇本では桜の花に似た⾊合いを持ち合わせ人気を集めています。有名な石言葉は、「愛情、優美、清純、母性、優しさ」などでしょう。
海外では4月の誕生石となっている水晶
日本では誕生石として認められていませんが水晶は日本でも人気があります。
水晶は日本でも山梨県で採掘され、甲州水晶貴石細工は伝統工芸として指定され、アクセサリーは誕生石として人気があります。有名な石言葉は、「純粋、無垢、繁栄、神秘、調和」などでしょう。
誕生石の始まり(歴史)
生まれた月によって縁起の良い宝石があり、それらは誕生石と呼ばれています。
それぞれの宝石には意味を持たされ、誕生石を身につけることで幸運が導かれると世界中で信じらておりお守りとして根強い人気があります。誕生石(birthstone)は、旧約聖書の「エジプト記」で登場する祭司長の胸当てに装飾された12種類の宝石から始まりました。
その後、「ヨハネの黙示録」で12聖都の城門に埋め込まれ理想郷のシンボルへと発展し、イスラエルでは12部族(12使徒)の象徴として信仰され、今では誕生石という世界的な文化として浸透してきました。ちなみに、ダイヤモンドは12部族6番目のガド族の象徴とされてきました。
一方で、誕生石の概念は時代や地域性によって独自の解釈が行われ様々な宝石種が誕生石とされてきたため、1つの月に複数の宝石が採用されています。現在、日本で浸透している誕生石は20世紀初頭(1912年)にアメリカの宝石商組合(ジュエラーズ・オブ・アメリカ)により定められました。
63年ぶりに改訂された4月の誕生石(2021年改訂)
誕生石は海外で生まれ、日本に定着した概念です。
イスラエルで生まれ、アメリカの宝石業界が定めたものが導入されました。一方で、国内の宝石業界は各団体・企業がそれぞれ日本版にアレンジし統一されておらず、混乱を招いていました。
2021年に改訂版として、日本独自の宝石も併せて10種類ほど追加され、合計29種類の誕生石が存在しています。改訂方針として、業界で統一することを念頭に置き、歴史的背景は考慮しつつも、今まで単色の宝石しか選べなかった誕生石に加えて、カラーバリエーションを広げ、選択肢を増やしたかったようです。
誕生月 | 誕生石 |
1月 | ガーネット |
2月 | アメジスト、クリソベリル・キャッツ・アイ |
3月 | アクアマリン、サンゴ、ブラッドストーン、アイオライト |
4月 | ダイヤモンド、モルガナイト |
5月 | エメラルド、ヒスイ |
6月 | 真珠、ムーンストーン、アレキサンドライト |
7月 | ルビー、スフェーン |
8月 | ペリドット、サードオニックス 、スピネル |
9月 | サファイア、クンツァイト |
10月 | オパール、トルマリン |
11月 | トパーズ、シトリン |
12月 | ターコイズ(トルコ石)、ラピスラズリ、タンザナイト、ジルコン |
4月の誕生石は日にちによって違う(誕生日石)
誕生石は各月で決まりますが、日にちによって決まる誕生日石も存在します。
誕生石と違って誕生日石は出典が不明で、公式見解が書籍やサイトによってバラバラです。誕生石も通じている部分はありますが、なぜ誕生日石だと指定されているのか曖昧で多くは誕生日にちなんだ占いや統計情報などと石言葉を組み合わせ納得感があるように思えますが、信じるかどうかはあなた次第でしょう。
この記事でも4月の日にち別で掲載しようか悩みましたが、情報ソースによって誕生日石が異なるため見送りました。引き続き調査して、明確な情報が入手でき次第に追記いたします。
あとがき
誕生石の改訂で12の誕生石にも関わらず29種類も存在するのは不思議です。
宝石の種類を増やすというより12種類に近づけるよう、歴史的な精査を行い厳選した(種類を減らした)方が信頼性や価値が高まるのではないでしょうか。もしくはいっそのこと、日本文化に根深い宝石にアレンジした完全に日本オリジナルの誕生石として改訂して欲しかったです。
誕生石に併せて複数の選択肢があり、その選択肢の根拠が曖昧な場合、どれを選んだら判断できないため、「結局売り手都合のマーケティングなら誕生石の概念自体ビミョー(ダサい)よね、買うのやっぱりやめよう」となってしまうのは私だけでしょうか。