ベビーリングはティファニーにはありませんが、扱わない理由があります。出産記念にサイズの小さなベビーリングをオーダーする風習は日本で人気を集め、値段は安くありませんが誕生石をセッティングするのが定番です。しかし、海外では指輪より銀スプーンの方が一般的で、ティファニーらしい豊富なベビーギフトコレクションは見逃せません。
執筆者はしまだです。米国宝石学協会GIAホルダー、年間30件以上の鑑定に携わる。現在、Gem-A FGA取得に向けて研鑽しています。記事の編集ポリシー・レビューガイドラインも併せてご確認ください。
ベビーリングはティファニーにはない?
ベビーリングはティファニー(Tiffany)で販売されていません。
例えば、ティファニーに限らず、カルティエやブシュロン、ブルガリ、ヴァンクリに代表される世界5大宝石商を始め、国際ブランドを中心とした大手ブランドからはベビーリング自体がコレクションにありません。
ベビーリングを赤ちゃんへ贈る習慣は日本独自ではありませんが海外でも一般的ではありません。そのため、ティファニーのコレクションにベビーリングがない理由も納得が行きます。実は、このベビーリングを贈る習慣はスプーンから始まっています。
18世紀前後のヨーロッパでは、人々は財布や鍵を持ち歩くように自分のスプーンをテーブルに持ち込んでいました。当時は銀のスプーンを持っているかどうかが社会階級(中流階級)を証明する身分証(文化的なマーカー)のような存在でした。そのような背景から、「一生食べ物に困らず健やかに幸せな人生をおくれますように」と願いを込めて赤ちゃんへ銀のスプーンを贈る習慣が始まったと言われています。
その習慣から転じて、誕生石を組み合わせるなどしたベビーリングが日本では注目されるようになりました。ちなみに、日本国内ブランドではありますが、ベビーリングで人気を集めているのは誕生石との組み合わせが可愛らしい銀座ダイヤモンドシライシでしょう。
ティファニーのリングをベビーリングサイズへ
少し大胆な方法ですが、どうしてもティファニーのベビーリングを手に入れたい場合には方法がない訳でもありません。
そう、ティファニーの通常コレクションの指輪を注文した後に、自身でベビーリングサイズへ加工し直す方法です。ティファニーの指輪は一般的にUSサイズ4~11号(日本サイズ約6 1/2~24号)までの展開です。
一方で、ベビーリングの標準的なサイズは新生児から数ヶ月前後の赤ちゃんに合わせたサイズとなっていて、マイナス8号(内周32mm、直径10.2mm)からマイナス10号(内周30mm、直径9.6mm)です。
ティファニーでは指輪のサイズ直しは行なっていますが、ベビーリングサイズへの加工は行なっておりません。最寄りの宝飾店(ジュエリー工房)へ持ち込み、サイズ直しを依頼することになります。手直しされた指輪はこの世に2つとない、とっておきのベビーリングとして喜んでもらえるでしょう。
デザインや素材によってはベビーリングサイズへ直すことができない商品もあるため、赤ちゃんの指にはめたりはせず、はじめからネックレスとしてチェーンにベビーリングを通してお母さんが身につける場合もあります。
ティファニーではベビーリングよりベビーギフトを
ティファニーでは出産記念にベビーリングやベビージュエリーではなく、ベビーギフトをコレクションとして用意しています。
ベビーリングの始まりとも言える、銀のスプーンはやはりベビーギフトで1番人気で、ティファニーを代表するデザイナーであるエルサ・ペレッティが手がけたデザインはまさに至高のスプーンと言えます。
その他にも、ベビーブラシやテディベア、ぬいぐるみなどティファニーらしいベビーギフトが多く、どれも見逃せません。ベビーギフトは最も安い値段で1.9万円の銀のスプーンから、10万円を超えるような銀のベビーカップまであり、豊富なラインナップ(全23種類)から選べます。
あとがき
ベビーリングも魅力的ですが、ティファニーで選べるベビーギフトも見逃せません。
個人的にはやっぱり、銀のスプーンを赤ちゃんへ贈るストーリーが頭から離れません。もしくは、ビーンデザイン(通称ビーンズ)のベビーブラシが可愛くておすすめです。変わり種としては、バブルブロワー(シャボン玉を吹く時に使うおもちゃ)はきっと赤ちゃんのお気に入りになってくれるはず。一方で、ベビーギフト(出産祝い)は重複しやすいため事前に確認して選ぶのを忘れないように。