カラーダイヤモンドで人気があるのはピンク、ブルー、ブラックです。ブラウンやグリーンは現在注目が集まっています。レッドやブルーなどの高いカラーでも人工でれば数千ドルから選べ、値段は年々下がっています。シャンパンはイエローでなくブラウン系統、カナリーイエローは純粋な黄色だけになり概要を紹介、詳しくは個別記事をご覧ください。
執筆者はしまだです。米国宝石学協会GIAホルダー、年間30件以上の鑑定に携わる。現在、Gem-A FGA取得に向けて研鑽しています。記事の編集ポリシー・レビューガイドラインも併せてご確認ください。
カラーダイヤモンドとは
カラーダイヤモンドには様々な色があります。
純粋なホワイトダイヤモンドは完全に透明で無色で4Cのカラー(color)でグレーディングされ、多くは無色からイエロー系統になり、色味の度合いで価値が決まります。カラーグレードはD(無色)からZ(イエロー)まであり、Zより強い(濃い)カラーを持つ規格外のイエロー及びブラウン、それら以外のカラーを総称しファンシーカラーと呼びます。
ファンシーカラーダイヤモンドと呼ばれると評価は一気に上がります。何故ならば、ファンシーカラーは1万個のダイヤモンドに1つしかありません。イエローやブラウンは普通に出回りますが、それ以外のカラーになるとさらに希少性が高まります。例えば、ブルー、ピンクからレッド・パープルの赤い系統、グリーン、オレンジなどが挙げられます。
つまり、ダイヤモンドに限らず多くの宝石は、純粋で完璧な結晶より自然な組成をして色づいたものが好まれ、ルビーやサファイア、エメラルドやトパズ、翡翠はその典型的な例で色がついてこそ評価が上がります。また、ファッショントレンドにも左右されやすく、芸能人や有名人、海外のセレブなどが着用すると注目され値段が上がります。
カラーダイヤモンドの見分け方
カラーダイヤモンドは27色に分類され、9つの彩度に区分けし見分けます。
カラーはレッド4色(Purple-Red, Purplish-Red, Red, Orangish-Red)、オレンジ4色(Reddish-Orange, orange, Yellowish-Orange, Yellow-Orange)イエロー5色(Orange-Yellow, Orangish-Yellow, Yellow, Greenish-Yellow, Green-Yellow)、グリーン5色(Yellow-Green, Yellowish-Green, Green, Bluish-Green, Blue-Green)、ブルー4色(Green-Blue, Greenish-Blue, Blue, Violetish-Blue)パープル5色(Bluish-Violet, Violet, Purple, Reddish-Purple, Red-Purple)になります。
一般的なカラーグレード(D~Z)は色が明確になるほど価値が減少しますが、カラーダイヤモンドは色が濃く彩度が高くなるほど価値も高くなります。例えば、フェイント(Faint)、 ベリーライト(Very Light)、ライト(Light)、ファンシーライト(Fancy Light)、ファンシー(Fancy) ファンシーインテンス(Fancy Intense)、ファンシーヴィヴィッド(Fancy Vivid)、ファンシーダーク(Fancy Dark) ファンシーディープ(Fancy Deep)に分かれます。
つまり、ブラックやグレーなど暗いカラーダイヤモンドを除き、ファンシーヴィヴィッドが最もカラーと彩度が高く価値があります。一方でカラーの濃いダイヤは内包物が入りやすく、クラリティの高いカラーダイヤモンドは非常に数が少ないため、手に入れるのは難しくなります。
ファンシーカラーダイヤモンド人気トップ3
ファンシーカラーの人気トップ3を紹介します。
人気カラーはピンク、ブルー、ブラックになります。人工ダイヤモンドではピンクやブルーも多くイエローに続いて多く出回るようになりました。
ピンクダイヤモンド
ピンクカラーで有名なダイヤモンドはピンクスター(Pink Star)です。
59.6カラットの世界最大級のピンクダイヤモンドで、このサイズでVivid Pinkと評価されているものは他になく、オークションにおいて過去最高額の約$7,120万で落札されました。
ピンクダイヤに関してこちらの記事で、なぜ今後ピンクは価値が他のカラーダイヤより上がるのか、1カラットあたりの相場なども詳しく掘り下げて解説しました。
ブルーダイヤモンド
ブルーカラーで有名なのはホープダイヤモンド(Hope Diamond)です。
おそらく、カラーダイヤで最も有名で、呪われし宝石として話題を集めました。ブルーダイヤでは最大級ですが、世界中を旅して徐々に小さくなり現在では44.52カットとなっています。
ブルーダイヤに関してはこちらの記事でも詳しく紹介しています。他カラーより何倍も深くから生まれる地球からの奇跡の贈り物でした。
ブラックダイヤモンド
ブラックカラーで有名なダイヤモンドはブラックオルロフ(Black Orlov)です。
67.5カラットですが、呪われたブラックダイヤモンドとして注目を集めていました。
ブラックダイヤに関してはこちらの記事で深く掘り下げています。実はブラックダイヤに限って地球で生まれた宝石ではない可能性もあり、研究が進めされています。
ファンシーカラーダイヤモンドの注目カラー
ファンシーカラーの注目カラーを紹介します。
注目カラーはブラウン、グリーン、イエロー、オレンジになります。イエローは人工ダイヤモンドでも量が多く、グリーンやオレンジもよく見かけます。
ブラウンダイヤモンド
ブラウンカラーで有名なのはゴールデンジュビリーダイヤモンド(Golden Jubilee Diamond)です。
545.67カラットあり、世界最大級の原石「カリナン」から生まれたカリナンIよりも15.37カラット大きく世界最大級のカットダイヤモンドです。
シャンパンカラーダイヤモンド
シャンパンカラーとはブラウンダイヤモンドに区分けされます。
シャンパンは淡い黄色ですがシャンパンカラーはライトブラウンを示します。ブラウンカラーに関しては詳しくこちらの記事で掘り下げて紹介しています。
グリーンダイヤモンド
グリーンカラーで有名なダイヤモンドはドレスデングリーン(Dresden Green)です。
40.7カラットを持つ世界最大級のグリーンダイヤモンドです。グリーンダイヤモンドについては詳しくこちらの記事で掘り下げています。
イエローダイヤモンド
イエローカラーで有名なダイヤモンドはティファニーダイヤモンド(Tiffany Diamond)です。
オードリー・ヘプバーンが映画「ティファニーで朝食を」のプロモーションで身につけ、2019年にはレディ・ガガがアカデミー賞の授賞式で着用し、歴史上4人しか着用されていません。イエローダイヤモンドの値段に関しては、こちらの記事で掘り下げています。他のカラーに比べて値段に幅があり気軽に入手できる事が特徴です。
イエローダイヤモンドは高いのか?
イエローダイヤモンドはDカラーと比べると評価は下がります。
一方で、一般的なカラーグレードであればイエローダイヤモンドの方が高い評価を受けることが多いようです。カラーダイヤモンドの中で最も採掘量も多いため市場に出回りやすく品質もピンキリで、希少性の高い条件を揃えたイエローダイヤモンドは市場で最高値をつける事も少なくありません。
イエローダイヤモンドに関して詳しくはこちらの記事で掘り下げて紹介しました。
オレンジダイヤモンド
オレンジカラーで有名なのはパンプキンダイヤモンド(Pumpkin Diamond)です。
5.54カラットの世界最大級のオレンジダイヤモンドです。
希少なファンシーカラーダイヤモンド3選
希少なファンシーカラーを紹介します。
希少なカラーはレッド、パープル、グレーになります。カラーダイヤモンドで最も希少なレッドは人工ダイヤモンドで最近よく見かけるようになりました。
レッドダイヤモンド(赤いダイヤモンド)
レッドカラーで有名なのはムサイエフレッドダイヤモンド(Moussaieff Red Diamond)です。
5.11カラットを持つ世界一大きなレッドダイヤモンドです。
レッドダイヤモンドの値段
レッドダイヤモンドは市場に出回る事が稀です。
レッドダイヤモンドはカラーダイヤモンドで最も希少価値があり、1カラット未満のものがほとんどで、相対取引やオークションを中心に取引され少なくともカラットあたりの値段は数十万ドルとも言われています。ます。詳しくはこちらの記事で掘り下げて紹介しています。
パープルダイヤモンド
パープルカラーで有名なのはロイヤルパープルハートダイヤモンド(Royal Purple Heart Diamond)です。
7.34カラットを持つ世界一大きなパープルダイヤモンドで、現在誰の手にあるかわかっていません。
グレーダイヤモンド
グレーダイヤモンドはyellowish, greenish, bluish, violetカラーになります。
グレーカラーで有名なダイヤモンドの多くはブルーカラーとして扱われています。例えば、ヴィッテルスバッハダイヤモンド(Wittelsbach Diamond)やモロッコのスルタン(Sultans of Morocco)などです。
あとがき
カラーダイヤモンドはピンキリです。
レッドやブルー以外のファンシーカラーのルース(裸石)は、$1,000前後から市場に出回っています。人工ダイヤモンドであれば、レッドやブルーでさえ$3,000前後から気軽に選べます。