カリナンダイヤはカラーレスダイヤにおける世界一のダイヤです。大きさは他のカラーダイヤモンドにこそ譲りましたが、値段は世界一高いダイヤです。これほどまでに大きな原石は間違いなく世界最大級で、小さなダイヤを除き9つの大きなダイヤを生み出しました。
執筆者はしまだです。米国宝石学協会GIAホルダー、年間30件以上の鑑定に携わる。現在、Gem-A FGA取得に向けて研鑽しています。記事の編集ポリシー・レビューガイドラインも併せてご確認ください。
ダイヤモンドで世界最大だったカリナン
カリナン(Cullinan)は世界最大のダイヤモンドだった時期があります。
1905年に南アフリカで採掘されたカリナンは当時世界最大のダイヤでした。1985年に現在世界で2番目の大きさであるゴールデンジュビリー(ブラウンダイヤ)がカリナンと同じ鉱山から採掘され、80年間保持した記録に終止符を打ちました。カラーレスのダイヤモンドに限定すれば、今でも世界最大のカラーレスダイヤとなります。
現在、世界最大のダイヤを含めて世界最大級のダイヤを特集していますので、併せてこちらもご覧ください。
カリナンダイヤの大きさ
カリナンダイヤは実は1つではありません。
原石こそ1つであったものの、小さなダイヤを除き原石から大きく9つに分割され、カリナン1からカリナン9まで名前が付けられています。ちなみに、カリナンは鉱山の所有者(トーマス・カリナン)に因んで名づけられました。
カリナンで最も大きなカリナン1の大きさは530.2カラットを誇り、王笏(王の杖)にセッティングされています。カリナンは英国王室(エドワード7世)に贈呈されたため、現在ではロンドン塔で展示されています。
そして、カリナン2の大きさは317.4カラットを誇り、大英帝国王冠にセッティングされています。カリナン3の大きさは94.4カラットを誇り、王妃の王冠にセッティングされています。
カリナンから生まれた小さなダイヤを除き、9つのカリナンの合計カラットは、1055.89カラットを誇ります。
カラット | |
カリナン1 | 530.2 |
カリナン2 | 317.4 |
カリナン3 | 94.4 |
カリナン4 | 63.6 |
カリナン5 | 18.8 |
カリナン6 | 11.5 |
カリナン7 | 8.8 |
カリナン8 | 6.8 |
カリナン9 | 4.39 |
カリナンダイヤ原石の大きさ
カリナンダイヤ原石の大きさは3106カラットです。
原石という括りで比較すると、カリナンダイヤの原石は、間違いなく世界最大級のダイヤ原石になります。しかし、世界最大の原石は今のところ、ブラジルで採掘された3167カラットのセルジオ(ブラックダイヤの原石)になります。カラーレスダイヤに限定すると、カリナンダイヤの原石は世界最大と言えるでしょう。
ブラックダイヤに関してはこちらの記事で掘り下げて紹介しているので、併せてご覧ください。
カリナンダイヤの値段は世界一
カリナンダイヤは値段がついていません。
カリナンダイヤは採掘された後に南アフリカ政府に当時のレートで15万ポンド(現在の2,100万ドル)で売却されたものの、その後は関係を改善する目論みとして英国王室に贈呈されました。
原石のまま贈呈されたため、英国王室自らがカッティングを手配し、それらにまつわる逸話も残っています。つまり、市場に出回る機会がなかったため、値段がついていません。
推定価格は4億ドル(カリナン9つ全てまとめた値段)と発表されてますが、値段が付けばそれ以上とも言われています。
あとがき
カリナンダイヤはカラーレスダイヤでは世界最大で世界一高いダイヤです。
ブラウンダイヤやブラックダイヤは比較的大きな原石が採掘されますが、カラーレスダイヤほど高額で取引はされません。カリナンダイヤはそういった意味でとても希少性が高く、価値の高いダイヤです。伝説的な宝石であるホープダイヤも推定価格が発表されていますが、比べられません。