ダイヤモンド(宝石)選びは、カラットを優先させるのも手。ブランドからダイヤを探すなら、選ぶのはカラット数とデザインだけです。できるだけ安く抑えたい、セミ・フルオーダーも視野に入れるなどの場合には、4Cなど一定の条件を絞って調整してみましょう。
執筆者はしまだです。米国宝石学協会GIAホルダー、年間30件以上の鑑定に携わる。現在、Gem-A FGA取得に向けて研鑽しています。記事の編集ポリシー・レビューガイドラインも併せてご確認ください。
ダイヤモンドのカラットとは
カラット(Carat)とは宝石の重さ(質量)を測る単位です。
例えば、宝石全般の値段を決める代表的な要素の1つで、カラットが大きくなるに比例して値段も上がるため、ダイヤモンドでは4Cと呼ばれる評価基準の1つとなっています。1カラットは0.2gで4Cの中では唯一、重さというシンプルな数値のみよって評価されるため、ブレる事のない絶対的な基準です。
なぜ1カラット0.2gなのか、それはイナゴ豆の一種であるカロブ(Carob)1粒がおおよそ0.2gでそれらを計量の際に分銅代わりに使っていて、その慣習から始まったと言われています。ちなみに、ポイントという単位も小さなダイヤを取引する際には使われる事もあり、1カラットは100ポイントに分割できます。
カラットに代表される4Cとは
4Cとはダイヤの品質を決める国際基準です。
カラット(重さ)、カット(技術)、カラー(色)、クラリティ(欠点と内包物)の頭文字Cを取って4Cと呼ばれ、4Cの評価は人の手によって行われるため、鑑定機関や鑑定者によって一定のブレがあり完璧な評価は困難です。
一方で、4Cそれぞれの基準が分かれば素人でもダイヤの品質がおおよそ判断できるようになります。ダイヤ選びには4Cの各条件を自分なりにアレンジして、希望と予算に応じたあなただけのダイヤ探しをするために必要なコンパスとなります。4Cに関してはこちらの記事で掘り下げて紹介しています。
ダイヤモンドのカラットはカット差がある
カラットは縦横高さの総合的な大きさによって決まります。
代表的なラウンドブリリアントカットであればおおよそのプロポーションが決まっているのでカラット数が分かれば直径が分かります。例えば、0.3カラットでは約4.3mm、1カラット6.5mmとなり、0.1カラット毎に0.6~0.8mmほど大きくなります。
カラット | 直径(mm) |
0.1 | 3.0 |
0.2 | 3.7 |
0.3 | 4.3 |
0.5 | 5.2 |
0.7 | 5.8 |
1 | 6.5 |
2 | 8.2 |
3 | 9.3 |
一方で、カッティングのグレードが低くなると、ガードル以下の重量が増えてしまいダイヤの直径が基準より小さく見栄えが悪くなり割高な印象を与えてしまうため、カラットよりカットが重要視される傾向があります。
ダイヤモンドのカラットと値段の関係
ダイヤモンドはカラットが上がるほど値段も上がります。
値段は希少性と需要(人気)に影響を受けます。例えば、人気のある0.25カラット、0.5カラット、0.75カラット、1カラットは業界ではマジックサイズと呼ばれ、ダイヤの値段が大幅に上昇します。特に1カラット付近では、同じ品質のダイヤでも値段が2割も高くなる可能性があります。
マジックサイズの仕組みを知れば、大きさの違いは肉眼で分からないため、マジックサイズ未満のギリギリを狙い逆手に取って割安に買うといった手もあります。将来的に売却を考えるなど資産性を考える場合には、マジックサイズである事は有利に働きます。
婚約指輪の人気カラット数について
婚約指輪の人気カラット数は0.3カラット前後でした。
全体の約6割が0.2から0.4カラットを選び、1カラット以上を選んだカップルも2.4%いたようです。0.3カラット前後が人気を集める理由としては、普段の生活でさりげなく着けられたり、結婚指輪との重ね付けなどが意識されているようでした。
ゼクシィ結婚トレンド調査より調査結果を抜粋しますが、母集団は25~29歳が61%、30~34歳が22%と全体の8割を占めています。海外では日本のトレンドと異なり、4Cの条件を抑えても1カラット以上の大粒ダイヤに人気が集まっています。
0.3カラットは国内に限って人気があり、たった0.1カラットの違いでも実は見た目で印象が意外と変わったりします。詳しくはこちらの記事で掘り下げて解説しました。
カラットは宝石によってサイズが異なる
カラットは宝石によってサイズが異なります。大きい宝石ほど重くなりますが、
宝石が違えば素材自体の比重(宝石の重さの、同じ体積の水の重さに対する比)が異なります。例えば、ダイヤ(比重3.52)はルビー(比重4)よりも比重が小さいため、同じ1カラットのルビーよりもダイヤの方が大きくなります。つまり、宝石が違えば同じ大きさでも同じ重さではない事に注意しましょう。
あとがき
ダイヤで最も有名な尺度はカラットでしょう。
一般的にダイヤのジュエリーを手に入れたいと考えたら先ずカラット数をイメージします。ブランドによってはデザインは選べてもカラットは選べない場合も少なくありません。一方で、カラットだけでダイヤ選びをしてしまうと後から後悔してしまうケースもあります。セミ・フルオーダーはしないで、有名ブランド(国際ブランドもしくは国内最大手)でダイヤを選べばその辺りはブランド料に折り込まれていますので、細かい事は気にしないでカラットとデザインでお気に入りを選びましょう。
ダイヤで外しのないブランドに関してはこちらの記事で詳しく掘り下げて紹介しています。